エクセルで作業をしていると、セルに色をつけたり網掛けをしたりすることがよくあります。特に、入力が必要な箇所を明確にするために塗りつぶしを使用することは、作業効率を上げる上で非常に有効です。しかし、そのような色付けされたシートを印刷しようとすると、必ずしも画面上と同じように出力されるとは限りません。
実際、多くの場合、印刷時には塗りつぶしや網掛けを反映させたくないものです。カラー印刷のコストを抑えたい、白黒印刷でも見やすくしたい、といった理由から、画面上では色を使いつつ印刷時には色を消す方法を知りたいと思う人は少なくありません。この記事では、エクセル2013以降のバージョンを中心に、塗りつぶしを印刷しない方法やその活用法について詳しく解説します。また、ワードやGoogleスプレッドシートなど、他のソフトウェアでの類似機能についても触れていきます。
エクセルで塗りつぶしを印刷しない簡単な方法と、その応用テクニック
カラー印刷と白黒印刷それぞれの場合での塗りつぶしの扱い方
エクセルの画面上だけで色をつける方法と、それを活用するコツ
エクセル以外のソフト（ワード、スプレッドシート）での類似機能の使い方
エクセルで塗りつぶしを印刷しない簡単な方法
このセクションでは、エクセルで塗りつぶしたセルを印刷しない方法について、以下の項目を解説します：
- 白黒印刷設定で色を反映させない
- 条件付き書式で入力時に色を消す
- 画面上だけ色をつける方法がある
- カラー印刷でも部分的に色を消せる
- 網掛けも同様の設定で印刷しない
- ワードでも類似の方法が使える
白黒印刷設定で色を反映させない
エクセルで塗りつぶしたセルを印刷しない最も簡単な方法は、白黒印刷設定を使うことです。この設定を行うと、画面上では色付きのセルが表示されますが、印刷時には色が反映されません。
具体的な手順は、「ページレイアウト」タブから「ページ設定」ダイアログボックスを開き、「シート」タブ内の「白黒印刷」にチェックを入れることです。これにより、セルの塗りつぶしや文字の色がすべて白黒に置き換えられて印刷されます。ただし、この方法ではグラフや画像も白黒になってしまうため、注意が必要です。
条件付き書式で入力時に色を消す
もう一つの方法として、条件付き書式を使って入力時に自動的に色を消す設定があります。これにより、入力前は色付きで表示され、入力後は色が消えるため、印刷時に色が反映されません。
設定方法は、対象のセルを選択し、「条件付き書式」から「新しいルール」を選びます。そして、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、数式に「=A1<>””」（A1は対象セルの位置）と入力します。書式設定で「塗りつぶしなし」を選べば、入力時に自動的に色が消えるようになります。
画面上だけ色をつける方法がある
エクセルでは、画面上だけで色をつける方法もあります。これは、印刷には一切影響を与えず、作業効率を上げるのに役立ちます。
具体的には、「表示」タブの「ウィンドウ」グループにある「セルの強調表示」機能を使います。この機能を使うと、選択したセルだけが一時的に色付けされ、印刷には反映されません。また、VBAを使って独自のマクロを作成し、特定の条件下で一時的に色をつける方法もあります。これらの方法は、データ入力や確認作業を効率的に行いたい場合に特に有効です。
カラー印刷でも部分的に色を消せる
カラー印刷を行いながら、特定のセルの色だけを消すことも可能です。この方法は、グラフや画像はカラーで印刷しつつ、特定のセルの塗りつぶしだけを印刷しない場合に便利です。
実現方法としては、条件付き書式を使用します。印刷直前に特定のセルに値を入力し、その値に応じて塗りつぶしを解除する条件を設定します。例えば、A1セルに1を入力したときのみ塗りつぶしを解除する条件を設定しておけば、印刷前にA1に1を入力するだけで、指定したセルの色を消すことができます。印刷後はA1セルの値を削除すれば、画面上では再び色が表示されます。
網掛けも同様の設定で印刷しない
網掛けについても、塗りつぶしと同様の方法で印刷しないようにできます。網掛けは、セルを見やすくしたり、重要な情報を強調したりするために使われますが、印刷時には不要な場合があります。
白黒印刷設定を使えば、網掛けも印刷されなくなります。また、条件付き書式を使用して、特定の条件下でのみ網掛けを表示させることもできます。例えば、「=TODAY()=A1」という条件を設定すれば、今日の日付と一致するセルにのみ網掛けが表示され、それ以外の日には網掛けが消えるため、印刷時に反映されません。
ワードでも類似の方法が使える
エクセルで使用できる塗りつぶしを印刷しない方法の多くは、ワードでも応用可能です。ワードでも表を作成する機能があり、セルに色をつけたり網掛けをしたりすることができます。
ワードで塗りつぶしを印刷しない方法としては、印刷オプションで「白黒で印刷する」を選択することが挙げられます。これにより、画面上では色付きで表示されていても、印刷時には白黒で出力されます。また、ワードの場合、「下線」や「囲み線」などのスタイルを使って、印刷時にも反映される強調表現を行うことができます。これらの機能を組み合わせることで、画面上での視認性と印刷時の見やすさの両立が可能になります。
エクセルの塗りつぶしを印刷しない理由と活用法
このセクションでは、エクセルの塗りつぶしを印刷しない理由と活用法について、以下の項目を解説します：
- 入力箇所を明確にするためのテクニック
- 印刷コストを抑えられるメリットがある
- 白黒とカラーの使い分けができる
- スプレッドシートでも同様の機能がある
- エクセルのバージョンによる違いに注意
- 塗りつぶしを印刷したい場合の設定方法
入力箇所を明確にするためのテクニック
エクセルで塗りつぶしを使用しながら印刷しない主な理由の一つは、入力箇所を明確にするためです。画面上で作業する際、入力が必要なセルを色付けしておくと、どこに情報を入れるべきかが一目でわかります。これは特に複雑な表や大量のデータを扱う場合に効果的です。
ただし、この色付けは印刷時には不要になることがほとんどです。そのため、画面上では色を付けつつ、印刷時には色を消す設定を行うことで、作業効率と印刷物の見やすさの両立が可能になります。例えば、条件付き書式を使って「セルが空白の場合のみ色を付ける」という設定をすれば、データ入力後自動的に色が消えるため、印刷時に余計な色が残ることはありません。
印刷コストを抑えられるメリットがある
塗りつぶしを印刷しないもう一つの大きな理由は、印刷コストの削減です。カラー印刷は白黒印刷に比べて高コストであり、特に大量の印刷を行う場合はその差が顕著になります。塗りつぶしを画面上でのみ表示し、印刷時には反映させないことで、カラー印刷の必要性を減らすことができます。
さらに、インクやトナーの消費量も抑えられます。塗りつぶされたセルは、そうでないセルに比べて多くのインクを使用します。そのため、必要最小限の情報のみを印刷することで、印刷機器の消耗品の寿命を延ばし、メンテナンスコストの削減にもつながります。このような工夫は、特に大規模な組織や頻繁に印刷を行う環境で大きな効果を発揮します。
白黒とカラーの使い分けができる
エクセルの塗りつぶしを印刷しない設定を活用すると、白黒印刷とカラー印刷を効果的に使い分けることができます。例えば、日常的な業務用の資料は白黒で印刷し、重要な会議や発表用の資料はカラーで印刷するといった使い分けが可能になります。
具体的には、通常のワークシートでは塗りつぶしを印刷しない設定にしておき、必要に応じて特定のシートやセル範囲だけカラー印刷を行うことができます。これにより、情報の重要度や用途に応じて、最適な印刷方法を選択できます。また、同じデータを使って異なる目的の資料を作成する際にも、印刷設定を変更するだけで対応できるため、作業効率の向上にもつながります。
スプレッドシートでも同様の機能がある
エクセルだけでなく、Google スプレッドシートなどの他の表計算ソフトでも、塗りつぶしを印刷しない機能が利用できます。これらのツールでも、条件付き書式や印刷設定を使って、画面上での表示と印刷時の表示を区別することが可能です。
例えば、Google スプレッドシートでは、印刷プレビュー画面で「背景色を含める」のチェックを外すことで、塗りつぶしを印刷しないようにできます。また、条件付き書式を使って特定の条件下でのみ色を表示させるなど、エクセルと同様の手法が適用できます。このような機能の共通性は、異なるツール間でのデータ共有や作業の引き継ぎを行う際にも役立ちます。
エクセルのバージョンによる違いに注意
エクセルの塗りつぶしを印刷しない方法は、使用しているバージョンによって若干異なる場合があります。例えば、古いバージョンのエクセルでは、印刷設定の場所や条件付き書式の機能が現行バージョンとは異なることがあります。
特に注意が必要なのは、エクセル2013以前のバージョンです。これらのバージョンでは、「ページレイアウト」タブの構成が現行バージョンとは異なる場合があります。また、条件付き書式の設定方法も、より新しいバージョンと比べてややシンプルな場合があります。そのため、インターネット上の情報を参考にする際は、自分が使用しているバージョンに合った説明を探すことが重要です。バージョンの違いによる操作方法の差異を理解しておくことで、スムーズに作業を進めることができます。
塗りつぶしを印刷したい場合の設定方法
場合によっては、塗りつぶしを印刷したいこともあるでしょう。例えば、重要な情報を強調したい場合や、データの分類を視覚的に表現したい場合などです。そのような場合には、印刷設定を適切に調整する必要があります。
塗りつぶしを印刷するには、まず「ページ設定」ダイアログボックスの「シート」タブで「白黒印刷」のチェックを外します。さらに、プリンターの設定でカラー印刷を選択していることを確認します。また、印刷プレビューで実際に色が反映されているかを確認することも大切です。塗りつぶしを印刷する際は、インクの消費量が増えることや、白黒コピーした際の可読性が低下する可能性があることにも注意が必要です。そのため、本当に必要な部分にのみ塗りつぶしを使用し、過度な使用は避けるのが賢明です。
