名村造船の決算を徹底解剖!2026年3月期の業績から今後の株価まで全部まとめてみた
「名村造船所の決算、結局どうだったの?」と気になって調べているあなたへ向けて、2026年5月14日に発表された2026年3月期の最新決算を徹底的にまとめた。名村造船所(証券コード:7014、東証スタンダード上場)は、ばら積み貨物船やタンカー、LPG運搬船などを建造する造船業界の有力企業だ。今回の決算では、売上高1,590億円・経常利益295億円という数字が公表され、期初の「大幅減益予想」を大きく覆して増益着地という結果に市場も驚いた。決算発表翌日の2026年5月15日には株価が+19.05%急騰するほどの注目を集めた。
この記事では、決算の数字の読み方がはじめての人でも理解できるよう、利益の背景・財務状況・今後の業績見通しから株価の行方まで丸ごと解説する。来期(2027年3月期)の会社予想や配当方針、投資判断に必要なリスク情報まで網羅しているので、名村造船所への投資を検討している人にも、業界動向をチェックしたい人にも役立つ内容だ。
| この記事のポイント |
|---|
| ✅ 2026年3月期の売上・利益・配当の最新実績数値がすべてわかる |
| ✅ 名村造船所の決算発表日と今後のIRスケジュールがわかる |
| ✅ 来期(2027年3月期)の会社業績予想と注目ポイントがわかる |
| ✅ 株価を左右するポジティブ要因とリスク要因が一目でわかる |
名村造船の2026年3月期決算、徹底まとめ

- 名村造船所の決算発表は2026年5月14日、売上高1,590億円で着地
- 名村造船所の2027年3月期の決算予想は売上1,700億円・増収増益計画
- 経常利益は従来の減益予想を覆して増益着地、予想比で大幅上振れ
- 2026年3月期の財務状況、自己資本比率51.3%で財務体質が大幅改善
- キャッシュフローも好調、営業CF388億円・現金残高1,187億円
- 年度別の業績推移でみる名村造船所のV字回復と高水準維持
名村造船所の決算発表は2026年5月14日、売上高1,590億円で着地

名村造船所が2026年5月14日(木)15時30分に正式発表した2026年3月期の連結決算は、売上高1,590億3,500万円・経常利益295億3,500万円・純利益215億9,000万円という結果だった。数字だけ見ても「多いのか少ないのか」わかりにくいと思うので、前期との比較を表で整理した。
📊 2026年3月期 連結決算 主要指標
| 指標 | 2026年3月期(実績) | 2025年3月期(実績) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,590億3,500万円 | 1,592億2,700万円 | -0.1% |
| 営業利益 | 280億8,500万円 | 294億6,600万円 | -4.7% |
| 経常利益 | 295億3,500万円 | 295億400万円 | +0.1% |
| 純利益 | 215億9,000万円 | 262億4,500万円 | -17.8% |
| 1株当たり純利益 | 310.92円 | 378.35円 | -17.8% |
| 年間配当 | 50円 | 50円 | 変わらず |
引用元:名村造船所 IRニュース(2026年5月14日発表)
https://www.namura.co.jp/ja/ir.html
売上高は前期とほぼ横ばい(-0.1%)、経常利益はわずか+0.1%のほぼ横ばいで着地した。一方で純利益は前期比約17.8%の減益となっている。純利益が落ち込んだのは、前期(2025年3月期)に計上されていた特別利益の反動が出たためとみられる。
ここで大事なのが、この数字を「悪い決算」と即断しないことだ。なぜなら、期初の会社予想(2025年5月時点)では大幅な減益を見込んでいたにもかかわらず、最終的には経常利益がほぼ横ばいを維持した「予想比で大幅な上振れ着地」だったからだ。
特に注目したいのが、第4四半期(2026年1月〜3月)の3ヵ月間だけの業績だ。この3ヵ月で売上高437億3,200万円・経常利益78億6,800万円を稼ぎ出した。経常利益の前年同期比は+74.1%増という驚異的な水準で、売上営業利益率も前年同期の14.7%から19.7%へと大幅改善している。
つまり、上半期は戦略的な移行期として一時的な落ち込みが発生したものの、下半期(特に第4四半期)に業績の勢いが明確に回復してきた。この流れが来期以降に継続するかどうかが、今後の業績を見る上での最大のポイントになる。
✅ 2026年3月期 決算ポイント
- 売上高・経常利益はほぼ前期並みを維持
- 純利益は前期比約18%減(特別損益の反動によるもの)
- 第4四半期の経常利益は+74%増と急回復
- 期初の大幅減益予想を覆す「増益着地」を達成
名村造船所の2027年3月期の決算予想は売上1,700億円・増収増益計画

2026年3月期決算の発表と同時に、名村造船所は2027年3月期(来期)の業績予想も公表した。その内容は市場予想を上回る、攻めの増収増益計画だ。
📊 2027年3月期 会社業績予想
| 指標 | 2027年3月期(予想) | 2026年3月期(実績) | 予想前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,700億円 | 1,590億3,500万円 | +6.9% |
| 営業利益 | 290億円 | 280億8,500万円 | +3.3% |
| 経常利益 | 300億円 | 295億3,500万円 | +1.6% |
| 純利益 | 220億円 | 215億9,000万円 | +1.9% |
| 1株当たり配当 | 60円 | 50円 | +10円(増配) |
| EPS(1株利益予想) | 316.70円 | 310.92円 | +1.9% |
引用元:名村造船所 IRニュース(2026年5月14日発表)
https://www.namura.co.jp/ja/ir.html
売上高は前期比+6.9%の1,700億円を計画し、2期ぶりに過去最高を更新する見込みだ。経常利益は前期比+1.6%の300億円で、3期連続で過去最高益を更新する見通しとなっている。
配当についても非常に強気な姿勢が打ち出された。前期(2026年3月期)の年間配当は当初予想の40円から最終的に50円へと増配されていたが、来期(2027年3月期)はさらに60円へと増配する方針が示された。2021〜2022年3月期に連続無配だったことを考えると、わずか数年で60円配当まで復活したことになる。
みんかぶの情報によると、来期の経常利益予想300億円は4期連続増益となる見通しで、業績が安定的な成長軌道に乗りつつあることが確認できる。
名村造船所 [東証S] が5月14日大引け後(15:30)に決算を発表。26年3月期の連結経常利益は前の期比0.1%増の295億円になり、従来予想の260億円を上回り、減益予想から一転して増益で着地。27年3月期も前期比1.6%増の300億円に伸びを見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。4期連続増益になる。
(引用元:https://minkabu.jp/stock/7014/settlement)
📊 上半期(2026年4月〜9月)の配当予想
| 区分 | 2027年3月期(予想) |
|---|---|
| 中間配当(予定) | 30円 |
| 期末配当(予定) | 30円 |
| 年間合計 | 60円 |
経常利益は従来の減益予想を覆して増益着地、予想比で大幅上振れ

「名村造船所の決算予想は?」と検索している人が最も気になるのは、会社の予想と実際の結果がどう違ったかという点だろう。この「予想vs実績」のギャップが、決算発表後の株価の動きを大きく左右するからだ。
📊 名村造船所 2026年3月期 予想vs実績の変遷
| 指標 | 期初予想(2025年5月) | 修正後予想(2026年2月) | 実績 | 期初予想比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,580億円 | 1,600億円前後 | 1,590億3,500万円 | ほぼ並み |
| 経常利益 | 210億円 | 260億円 | 295億3,500万円 | +85億円 |
| 純利益 | 150億円 | 据え置き | 215億9,000万円 | +65億円 |
引用元:名村造船所 決算情報ページ
https://www.namura.co.jp/ja/ir/result.html
特に注目したいのが経常利益の上振れ幅だ。期初の予想では経常利益210億円(前期比28.8%減)という大幅減益を見込んでいたが、2026年2月の修正で260億円に引き上げ、最終的には295億円という期初予想比+85億円の大幅上振れで着地している。
この上振れの背景として考えられるのは、第4四半期(2026年1〜3月)に新造船の引渡しが集中し、売上と利益の計上が後ろ倒しで一気に実現したことだ。また、期中に円安が進行した局面があり、米ドル建ての受注案件が円換算で膨らんだことも追い風になったとみられる。
加えて、第4四半期単体の営業利益率が19.7%という高水準だったことも見逃せない。一般的に造船業の営業利益率は10%前後とされることが多い中で、この水準は非常に高い。これは、名村造船所が受注している船の採算性(利益率)が、この数年で大幅に改善されてきたことを示している。
造船業界では、受注から引渡しまでに1〜3年程度のタイムラグがある。つまり今引き渡している船は数年前に受注したものだ。造船市況が改善して採算性の高い受注が積み上がった結果が、今まさに業績として花開いてきているわけだ。
✅ 予想vs実績のポイント
- 期初の経常利益予想(210億円)を85億円上回って着地
- 第4四半期に利益が集中し、営業利益率19.7%を達成
- 上半期は戦略的移行期で苦戦も、下半期で急回復を確認
2026年3月期の財務状況、自己資本比率51.3%で財務体質が大幅改善

決算数字を見るとき、「利益がいくらか」だけでなく「会社の財務が健全かどうか」も非常に重要な視点だ。財務が脆弱な会社は業績が少し悪化しただけで経営が傾くリスクがある。名村造船所の財務状況をチェックしてみよう。
📊 名村造船所 財務データ推移
| 決算期 | 総資産 | 純資産 | 自己資本比率 | 1株純資産(BPS) |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 1,237億円 | 371億円 | 29.8% | — |
| 2023年3月期 | 1,249億円 | 499億円 | 39.8% | 715円 |
| 2024年3月期 | 1,747億円 | 798億円 | 45.4% | 1,143円 |
| 2025年3月期 | 2,090億円 | 1,051億円 | 50.0% | 1,503円 |
| 2026年3月期 | 2,661億円 | 1,374億円 | 51.3% | 1,967円 |
引用元:名村造船所 財務ハイライト(連結)
https://www.namura.co.jp/ja/ir/finance/highlight.html
自己資本比率は2022年3月期の29.8%から、2026年3月期には51.3%まで急上昇している。一般的に自己資本比率が50%以上あれば財務の安全性が高いとされており、名村造船所はこの基準をしっかりクリアしている。
総資産も2022年3月期の1,237億円から2026年3月期には2,661億円へと2倍以上に拡大している。この急拡大は、船舶の建造代金を先払いで受け取る「建造前払金」の増加が主因だ。受注残が積み上がるほど前払い受け取り額も増えていくため、総資産が膨らむ構造になっている。
1株純資産(BPS)も2023年3月期の715円から2026年3月期には1,967円へと約2.7倍に増加した。これは利益の積み重ねによって自己資本が着実に積み上がっている証拠だ。
📊 名村造船所 収益性指標
| 決算期 | ROE(自己資本利益率) | ROA(総資産利益率) |
|---|---|---|
| 2023年3月期 | 25.86% | 8.96% |
| 2024年3月期 | 30.91% | 11.42% |
| 2025年3月期 | 28.55% | 12.56% |
| 2026年3月期 | 17.91% | 8.11% |
引用元:みんかぶ 名村造船所 決算情報
https://minkabu.jp/stock/7014/settlement
ROEは直近で低下しているが、これは自己資本(純資産)が急拡大したことによるもので、会社の収益力が落ちたわけではない。自己資本が増えるとROEは数学的に下がりやすくなる(同じ利益でも分母が増えれば数値は下がる)。それでもROE17.91%という水準は、一般的に「優良企業」とされる10〜20%の範囲内に収まっており、十分に高い水準といえる。
キャッシュフローも好調、営業CF388億円・現金残高1,187億円

「キャッシュフロー(CF)」とは、会社のお金の実際の流れを示す指標だ。利益が出ていても実際に現金が手元に入ってこなければ経営は苦しくなる。CFは利益と並んで会社の実態を見る上で欠かせない数字だ。
📊 名村造船所 キャッシュフロー推移
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | フリーCF | 現金等残高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 89億円 | -12億円 | -33億円 | 77億円 | 294億円 |
| 2024年3月期 | 274億円 | -19億円 | +5億円 | 254億円 | 553億円 |
| 2025年3月期 | 377億円 | -52億円 | +22億円 | 324億円 | 901億円 |
| 2026年3月期 | 388億円 | -98億円 | -5億円 | 290億円 | 1,187億円 |
引用元:みんかぶ 名村造船所 決算情報 / 株探(かぶたん)
https://minkabu.jp/stock/7014/settlement
https://kabutan.jp/stock/finance?code=7014
営業CF(本業で稼いだ現金)は388億円で、前期の377億円を上回り過去最高水準だ。投資CF(設備投資など)は-98億円で、前期比で約2倍の投資支出となっている。これは後述する「GX対応の設備投資」に着手したためで、ゼロエミッション船に向けた大型投資が本格的に始まっていることを示す。
現金等残高は1,187億円と、前期(901億円)から約286億円増加した。時価総額(約2,835億円)の約40%相当の現金を保有していることになり、財務的な余裕は非常に大きい。万が一業績が落ち込んでも、十分な手元資金で乗り切れる体力があるといえる。
フリーCF(営業CF + 投資CF)は290億円で、本業で稼いだキャッシュが設備投資を大きく上回っている。この潤沢なキャッシュが今後の増配や設備投資、さらには自己株取得などの株主還元の原資となる可能性がある。
✅ キャッシュフローのポイント
- 営業CF388億円は過去最高水準で財務的な稼ぐ力が高い
- 現金残高1,187億円と財務的な余裕が十分にある
- 設備投資が前期比2倍に増加(GX対応投資の本格化を反映)
年度別の業績推移でみる名村造船所のV字回復と高水準維持

名村造船所の業績を長期で見ると、V字回復の軌跡がよくわかる。2021〜2022年3月期にどん底を経験した後、わずか数年で過去最高益水準まで回復した。
📊 名村造船所 売上高・利益の長期推移(抜粋)
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 年間配当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021年3月期 | 984億円 | 赤字 | 赤字 | 赤字 | 0円(無配) |
| 2022年3月期 | 834億円 | -95億円 | -82億円 | -84億円 | 0円(無配) |
| 2023年3月期 | 1,240億円 | 95億円 | 113億円 | 111億円 | 5円 |
| 2024年3月期 | 1,350億円 | 164億円 | 200億円 | 199億円 | 20円 |
| 2025年3月期 | 1,592億円 | 294億円 | 295億円 | 262億円 | 50円 |
| 2026年3月期 | 1,590億円 | 280億円 | 295億円 | 215億円 | 50円 |
| 2027年3月期(予想) | 1,700億円 | 290億円 | 300億円 | 220億円 | 60円 |
引用元:名村造船所 財務ハイライト / 株探(かぶたん)
https://www.namura.co.jp/ja/ir/finance/highlight.html
2022年3月期には営業利益が-95億円(赤字) で配当も無配だった。しかし2023年3月期から急回復し、2025年3月期には売上高1,592億円・配当50円という過去最高水準を達成。2026年3月期は売上高こそほぼ横ばいだが、経常利益では過去最高を更新した。
この劇的なV字回復の背景には、世界的な造船市況の改善がある。コロナ禍後の物流需要の回復や、省エネ・環境規制に対応した新船への代替需要が急増し、造船業界全体が活況を呈している。名村造船所もこの波に乗り、採算性の高い受注を積み上げることに成功した。
また、2010年前後に造船史上最高の建造量を記録した船が更新時期(約15〜20年)を迎え、2025年以降に大量の代替発注が期待されるという業界特有のサイクルも追い風だ。しばらくは需要の波が続くと考えられ、中期的な業績下支え効果が期待できる。
名村造船の決算から読み解く今後の展望と株価

- 名村造船所の今後の株価は大型船への移行期が終わると上昇期待
- 新造船事業の大型化戦略、大型LPG船と撒積運搬船が次の柱に
- 名村造船所のポジティブ要因5選、受注残の積み上がりと原価削減が強み
- 名村造船所のリスク要因6選、為替・資材費・地政学リスクに注意
- 名村造船所の決算発表スケジュール、次の発表日はいつか
- 株価指標から見た名村造船所の現状
- 総括:名村造船 決算のまとめ
名村造船所の今後の株価は大型船への移行期が終わると上昇期待

「名村造船所の今後の株価はどうなるでしょうか?」は多くの投資家が気にしている問いだ。もちろん株価を断言することはできないが、決算内容から読み取れる材料を整理しておこう。
📊 名村造船所 主要株価指標(2026年5月25日時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価(前日終値) | 4,080円 |
| 時価総額 | 2,835億円 |
| PER(来期会社予想ベース) | 12.88倍 |
| PBR(実績) | 2.07倍 |
| 配当利回り(来期予想) | 1.47% |
| EPS(来期予想) | 316.70円 |
| 年初来高値 | 6,050円(2026年2月18日) |
| 年初来安値 | 3,570円(2026年5月14日) |
引用元:Yahoo!ファイナンス 名村造船所【7014】
https://finance.yahoo.co.jp/quote/7014.T
決算発表日(2026年5月14日)に年初来安値をつけ、翌15日に+19.05%急騰した後、5月18日〜20日にかけて5〜6%の続落が続くという激しい値動きがあった。市場は決算内容を評価して急騰したものの、その後は「値幅が出たことで方向感が定まりにくい局面」となっている。
中長期的な視点で見ると、株価上昇を期待できる材料は少なくない。まず、来期(2027年3月期)の経常利益予想300億円は4期連続増益であり、業績のモメンタムは継続している。配当が60円に増額されることで、配当面での投資妙味も高まる。
一方で注意が必要なのが、株価がすでに年初来高値(6,050円)から大きく下落している点だ。これは2025年後半から2026年前半にかけて株価が過熱していた反動が出ているとも読める。今後の株価の行方については、大型船への移行期が完全に終わり、来期業績が計画どおり回復することを市場が確認できるかどうかが最大のカギになるだろう、とおそらく多くのアナリストも考えているはずだ。
✅ 株価を左右するポイント
- 来期EPS316.7円・PER12.88倍は造船株として過大な割高感はないとみられる
- 配当60円(来期予想)で配当面での安心感がある
- 移行期終了後の業績回復が株価の次の上昇トリガーになりうる
- 年初来高値6,050円から依然大幅な下落水準にある点は注意
新造船事業の大型化戦略、大型LPG船と撒積運搬船が次の柱に

名村造船所の中核事業は新造船事業だ。これまでの主力商品は「ハンディ型撒積運搬船(ばら積み貨物船)」だったが、同社は今後の主力商品を大型化する戦略を打ち出している。この移行期が一時的な業績の落ち込みを生んだが、同時に来期以降の成長基盤を作っている段階だ。
📊 名村造船所 新造船事業の戦略的シフト
| 区分 | 従来の主力 | 今後の主力・準主力 |
|---|---|---|
| 船種 | ハンディ型撒積運搬船 | 大型撒積運搬船(大型バルカー) |
| 付加商品 | 一部LNG燃料船 | 大型LPG船(VLGC)・LNG燃料船 |
| サイズ感 | 中型 | 大型・超大型 |
| 建造単価 | 中程度 | 高単価 |
| 採算性 | 安定的 | より高い採算性が期待できる |
日経新聞の報道によると、上半期の業績減少について名村造船所は「2010年前後に造船史上最高の建造量を記録した大型撒積運搬船や米国産LPGの輸入増を見込んだ大型LPG船をハンディ型撒積運搬船と並ぶ今後の主力商品にする戦略への移行期と位置付けたことにより一時的に操業量が低下した」と説明している。
名村造はばら積み貨物船、タンカーなどを建造する新造船事業を中核に…中核である新造船事業ではグループの主力商品であるハンディ型撒積運搬船を軸にLNG燃料船を含む大型撒積運搬船などの工事を順調に進捗させ
(引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXZRST0591341X01C25A1000000/)
大型LPG船(VLGC:Very Large Gas Carrier)は、米国から輸出されるLPG(液化石油ガス)を大量に輸送するための船舶だ。米国のシェールガス生産拡大に伴いLPGの輸出量が増え続けており、この船の需要は今後も拡大が見込まれる。建造単価も高く、採算性の改善に大きく寄与する。
大型撒積運搬船については、2010年前後に大量建造された船が更新時期(約15〜20年)を迎えるため、2025年以降に代替需要の大きな波が来ると予測されている。名村造船所はこの需要波を取り込むべく建造ラインの整備を進めており、受注残も着実に積み上がっている。
📊 船種別の特徴比較
| 項目 | ハンディ型撒積運搬船 | 大型撒積運搬船 | 大型LPG船(VLGC) |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 小口の穀物・石炭等 | 大口の石炭・鉄鉱石等 | LPG輸送 |
| 建造単価 | 中程度 | 高い | 高い |
| 採算性 | 安定的 | 高い | 高い |
| 建造工程の複雑さ | 比較的シンプル | 複雑・長期化 | 複雑・長期化 |
| 今後の需要見通し | 安定 | 代替需要で増加 | 増加傾向 |
名村造船所のポジティブ要因5選、受注残の積み上がりと原価削減が強み

決算短信の分析によると、名村造船所の業績を下支えするポジティブな要因が5つ確認できる。中長期的な投資を検討する人は、これらを把握しておくと業績の見通しが立てやすくなるはずだ。
📊 名村造船所のポジティブ要因一覧
| # | ポジティブ要因 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 新造船の大型化移行 | 大型バルカー・VLGCへの移行で単価と採算性が向上 |
| 2 | 受注残の積み上がり | 期末受注残が増加し、将来の売上が見通しやすくなった |
| 3 | 原価削減と円安寄与 | 設計・製造・調達一体型の原価削減で利益を確保 |
| 4 | 鉄構・機械の操業回復 | 鉄構橋梁で大型案件の受注が積み上がり操業回復 |
| 5 | GX設備投資の着手 | ゼロエミッション船対応の大型設備投資をスタート |
引用元:Yahoo!ファイナンス 名村造船所【7014】業績・決算情報
https://finance.yahoo.co.jp/quote/7014.T
特に重要なのが受注残の積み上がりだ。造船業では受注から引渡しまでに1〜3年かかることが多い。受注残が積み上がっているということは、先の売上がある程度確約されていることを意味し、将来の業績の見通しが立てやすくなる。
GX(グリーントランスフォーメーション)対応の設備投資も注目すべきポイントだ。国際海事機関(IMO)は2050年までのカーボンニュートラル目標を掲げており、造船業界でも環境対応船の建造技術が求められている。名村造船所はGX経済移行債の支援を受けてゼロエミッション船に向けた大型設備投資に着手しており、将来の高付加価値受注に向けた布石を着実に打っている。
鉄構事業の回復も業績の多角化という意味で心強い。鉄構橋梁で大型案件の受注が積み上がり、グループ会社の佐世保重工業のクランクシャフトも需要環境の改善と生産効率向上で利益に寄与している。造船事業一本足打法ではなく、複数の事業で収益を稼げる体制が整いつつある。
✅ 特に注目したい2つのポジティブ要因
- 受注残の積み上がり → 来期以降の売上安定性が高く、業績の見通しが立てやすい
- GX投資の着手 → 将来の高付加価値受注・競争力強化につながる可能性がある
名村造船所のリスク要因6選、為替・資材費・地政学リスクに注意

ポジティブな面がある一方で、投資を考える上ではリスク要因も必ず確認しておく必要がある。決算短信の分析で指摘されている主なリスクは以下の6つだ。
📊 名村造船所のリスク要因一覧
| # | リスク要因 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 運転資金負担の増加 | 大型船ほど先払いが多く、資金拘束が長くなる |
| 2 | 資材・人件費上昇 | 工事採算を圧迫するコスト上昇圧力が継続 |
| 3 | 為替変動リスク | 米ドル建て受注が中心で、急激な円高は収益に打撃 |
| 4 | 修繕船の工事量変動 | 国内艦艇修繕の工事量が減少し減収減益要因に |
| 5 | 新燃料船の工程長期化 | 次世代燃料船は建造工程が複雑化・長期化するリスク |
| 6 | 地政学リスク | 中東情勢等の悪化による燃料・物流コストへの影響 |
引用元:Yahoo!ファイナンス 名村造船所【7014】業績・決算情報
https://finance.yahoo.co.jp/quote/7014.T
最も影響が大きいリスクは為替変動だ。新造船は米ドル建てで契約することが多く、受注から引渡しまでの間に為替が円高方向に動くと、円換算の売上と利益が目減りする。名村造船所は為替予約でリスクをある程度ヘッジしているが、急激な円高局面では収益に影響が出るリスクは残る。
資材・人件費上昇も無視できない要因だ。鉄鋼材料の価格上昇や、造船技術者・溶接工などの人件費増加が工事採算を圧迫する。名村造船所は積極的な原価削減で対応しているが、コスト増の全額を吸収することは難しく、採算性に一定の影響は避けられない状況が続いている。
修繕船(修理・改造工事)については、国内艦艇(自衛隊の船など)の修繕工事量が前期比で減少したことが、2026年3月期の減収減益要因の一つとなった。この部門の工事量は発注側の計画に左右される部分が大きく、予測が難しい。
📊 リスク要因の影響度・対応状況マトリクス
| リスク要因 | 影響度 | 現在の対応状況 |
|---|---|---|
| 為替変動 | 大きい | 為替予約でヘッジ中(完全排除は困難) |
| 資材・人件費上昇 | 中程度 | 原価削減で一定程度吸収 |
| 運転資金負担 | 中程度 | 豊富なキャッシュ残高で対応可 |
| 修繕船の工事量変動 | 比較的小さい | 案件次第で変動、コントロール困難 |
| 新燃料船の工程長期化 | 中長期で要注意 | 技術対応力の向上が課題 |
| 地政学リスク | 不確実 | 業績見通しに未織り込み(見積り困難) |
名村造船所の決算発表スケジュール、次の発表日はいつか

「名村造船所の決算発表はいつですか?」という疑問に答えるために、今後の決算発表スケジュールをまとめておく。名村造船所の公式IRカレンダーによると、2026年度(2027年3月期)のスケジュールは以下のとおりだ。
📊 名村造船所 2026年度 IRカレンダー
| 日程 | イベント | 状況 |
|---|---|---|
| 2026年5月14日(木) | 2026年3月期 本決算発表 | 済 |
| 2026年6月 上旬 | 機関投資家・証券アナリスト向け決算説明会 | 予定 |
| 2026年6月23日(火) | 第127回 定時株主総会 | 予定 |
| 2026年8月 上旬 | 2027年3月期 第1四半期(4〜6月期)決算発表 | 予定 |
| 2026年11月 上旬 | 2027年3月期 第2四半期(4〜9月期・中間)決算発表 | 予定 |
| 2026年12月 上旬 | 機関投資家・証券アナリスト向け決算説明会 | 予定 |
| 2027年2月 中旬 | 2027年3月期 第3四半期(4〜12月期)決算発表 | 予定 |
引用元:名村造船所 IRカレンダー
https://www.namura.co.jp/ja/ir/ircalendar.html
直近の大きなイベントは2026年6月23日(火)の定時株主総会だ。ここで配当の正式決議が行われる。続いて2026年8月上旬の第1四半期決算が、来期の業績トレンドを確認する最初の機会となるため、投資家にとって最も注目度が高い発表となる。
造船業の業績は季節によって大きく変動することが多い。名村造船所の過去実績を見ると、第1四半期(4〜6月)と第4四半期(1〜3月)に引渡しが集中しやすい傾向がある。そのため、第1四半期の決算発表では比較的好調な数字が出やすい構造になっているとみられるが、あくまで参考程度にとどめておくべきだろう。
一方で、第2四半期(7〜9月)や第3四半期(10〜12月)は業績が低迷しやすい時期になることもある。1四半期の結果だけで一喜一憂せず、通期での業績進捗を追うことが重要だ。
✅ 決算スケジュールのチェックポイント
- 直近の注目イベント:2026年8月上旬の第1四半期決算
- 中間決算(4〜9月)は2026年11月上旬に発表予定
- 決算説明会は年2回(6月・12月)開催予定
- 株主総会での配当決議は2026年6月23日(予定)
株価指標から見た名村造船所の現状

決算数字の確認が終わったところで、株価指標の観点から名村造船所の現状を整理しておこう。株価指標を見ることで、現在の株価が「割高か、割安か」を大まかに判断する材料になる。
📊 名村造船所 株価指標サマリー(2026年5月25日時点)
| 指標 | 数値 | 参考水準 |
|---|---|---|
| PER(株価収益率) | 12.88倍 | 市場平均は15〜20倍程度 |
| PBR(株価純資産倍率) | 2.07倍 | 1倍が解散価値の目安 |
| 配当利回り(来期予想) | 1.47% | 日本株平均は2%前後 |
| ROE | 17.91% | 10〜20%が優良企業の目安 |
| 自己資本比率 | 51.3% | 50%超で財務安全性が高い |
| 有利子負債倍率 | 0.16倍 | 1倍以下は借入負担が小さい |
| 信用倍率 | 2.22倍 | 1倍超は買い優勢 |
| 発行済み株式数 | 約6,947万株 | — |
引用元:株探(かぶたん)名村造船所(7014)・Yahoo!ファイナンス
https://kabutan.jp/stock/finance?code=7014
https://finance.yahoo.co.jp/quote/7014.T
PER(株価収益率)は12.88倍で、日本株市場の平均的なPER(15〜20倍程度)と比べると若干低い水準にある。来期のEPS予想(316.7円)に対しても現株価4,080円のPERはおよそ12.9倍で、過大な割高感はないとみることもできる。ただし、これはあくまで会社予想が達成された場合の話であり、業績下振れリスクも念頭に置く必要がある。
PBR(株価純資産倍率)は2.07倍と、解散価値(1倍)の約2倍となっている。これは市場が名村造船所の将来の収益成長に対して一定の期待を持っていることの表れだ。PBRが高いということは「成長期待がある」という評価の一方で、期待が外れた場合の下落リスクも内包している。
有利子負債倍率は0.16倍と極めて低く、借入への依存度が非常に小さいことがわかる。現金残高も豊富で財務リスクは低い状態だ。
📊 収益性・財務面での総合評価
| 評価軸 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| 収益力 | 中〜高 | ROE17.91%、営業利益率17.66% |
| 財務安全性 | 高い | 自己資本比率51.3%、有利子負債倍率0.16倍 |
| キャッシュ創出力 | 高い | 営業CF388億円、現金残高1,187億円 |
| 成長性 | 中程度 | 来期増収増益予想だが成長率は緩やか |
| 株主還元 | 積極的 | 増配傾向が継続(今期60円予定) |
総括:名村造船 決算のまとめ

最後に記事のポイントをまとめます。
- 名村造船所の2026年3月期の決算は2026年5月14日に発表され、売上高1,590億円・経常利益295億円で着地した
- 期初の経常利益予想(210億円)を85億円上回る大幅な上振れ着地で、「減益予想から増益着地」という好結果だった
- 純利益は前期比17.8%減(215億円)だったが、これは前期の特別利益計上の反動によるものだ
- 第4四半期(2026年1〜3月)単体の経常利益は前年同期比+74.1%増と急回復し、営業利益率は19.7%まで大幅改善した
- 2027年3月期(来期)の会社予想は売上高1,700億円・経常利益300億円で4期連続増益・増収増益計画だ
- 来期の年間配当は60円に増配予定で、株主還元の強化が継続している
- 自己資本比率は51.3%・現金残高は1,187億円と財務体質は非常に健全な状態にある
- 新造船事業の大型化(大型バルカー・VLGC)への移行期から回復フェーズへの転換が業績の最大のカギだ
- リスク要因として為替変動・資材人件費上昇・地政学リスクへの注意が必要だ
- 次の決算発表は2026年8月上旬(第1四半期)と2026年11月上旬(中間決算)が予定されている
- 株価指標ではPER12.88倍・PBR2.07倍・配当利回り1.47%で、成長期待が一定程度織り込まれた水準となっている
- GX対応の大型設備投資が本格化しており、ゼロエミッション船への対応が中長期の成長ドライバーになりうる
- 受注残の積み上がりにより来期以降の売上の見通しが立てやすく、業績の安定性が高まっている
- 造船市況の改善と2025年以降の代替発注需要増という業界追い風を受けており、事業環境は良好だ
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- https://www.namura.co.jp/ja/ir/result.html
- https://www.namura.co.jp/ja/ir/ircalendar.html
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/7014.T
- https://kabutan.jp/stock/finance?code=7014
- https://www.nikkei.com/article/DGXZRST0591341X01C25A1000000/
- https://minkabu.jp/stock/7014/settlement
- https://www.namura.co.jp/ja/ir.html
- https://www.namura.co.jp/ja/ir/finance/highlight.html
- https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/797493
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/7014.T
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